私の弱さを受けとめてくれる人
母親にまいって、彼の家に駆け込んで、彼の前で少し泣いてしまった。
電話越しでもなく、目の前で自分の弱さを見せてしまったのだ。
人前で涙を流すのは苦手だ。
なのに、私のセンシティブな部分を出して泣いてしまった。
彼は優しい味をした、カレーを出してくれ、足をマッサージしてくれた。
ああ、この人とならやっていけるなと思った。
私はプライドがあって、でも脆い。いつもしっかりした自分を見せないと、やっていけないからだ。
見栄でもなく、部長や責任を負うポディションにいたからかもしれない。周りがそういう私を求めるから、作り込んだ強い“自分”。
だから周りはお姉さんに見えるらしく、よく頼られる。相談もされる。
そして寄ってくる男性は、母性を求める承認欲求の強い、女の人に甘えたい人だった。
私の方が甘えたいのに。
よく私は優しいと言われる。全てを受け入れるから、そういう男が寄ってきた。
そしてズタボロになって、別れることが多かった。
誰か、私を支えて。受けとめて。受け入れて。そう、私も承認欲求が強いのだ。
彼が私の足をマッサージしてる時に、ふと亡くなったおじいちゃんを思い出した。
小6までおじいちゃんと添い寝してた。優しくて、自由に好きなことをさせてかまってくれるおじいちゃんだった。
彼は多面的な人である。おじさんでもあり、お兄さんでもあり、子供でもあり、老いを感じるおじいさんみたいである。
ころころ色んな面が見える。複雑とも言えるし、読めないこともあったけど、それほど“深い”人なんだろう。
彼はバツイチ。でも私を良く知る女友達は、ひとみちゃんは、経験多い人の方が良いと言ってくれた。
彼女は私の弱さを知ってるからだろう。女友達には、弱さを見せられるのに、男の人には、あまり見せれなかった。
それを生まれて初めて、見せて、そしてそれを受けとめてくれたのが、本当に嬉しくて、この人ならやっていけるなと再確認した。
ひとみちゃん、手を出してと言われ、
彼の手のひらに乗っているラピスラズリの石の上に手を乗せたら、
と言って、私を笑わせた。
ジョンレノンとオノヨーコみたいに、世界一ウザいカップルになろうぜと言う、44歳。
根暗な私を笑わせてくれる彼の存在に感謝と、出会えたことに、本当に“ありがとう”である。